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昨年末にこんなことがあった。

俺たちは作家も含めてDVD用の漫才を作っていた。連日みんなで集まっていたんだけど、なかなかいいアイディアが浮かばない。俺は気分転換にアイスでも食おうと思って、作家の秋葉という男にこう頼んだ。

「悪いんだけどコンビニに行ってアイス買って来てくれ。ハーゲンダッツのチョコバーのピーナッツのヤツ。なかったら、ハーゲンダッツのカップでナッツのヤツね。それもなかったら、どのメーカーでもいいから、とにかくナッツ入りのアイスで」

秋葉は「わかりましたぁ!」かなんか言って出て行ったんだけど、なかなか戻ってこない。しばらくして戻って来たと思ったら、買ってきたのが抹茶アイスだったわけ。

「なんだこれ?」

「いや、本当になかったんですよ。いろんなコンビニに行ったんですけど、置いてないですね、ナッツ入りのアイス」

俺は「とりあえず電話してくるとかあるだろ」と思ったけど、もうさ、怒る気力も失せて急にガッカリしちゃったわけ。コンビニと言えば欲しいものがたいてい揃っているところ。なのに、俺の好きなアイスは、ひとつの商品に限定せず何段階か希望を下げたにもかかわらず一切ないと。

言ってみりゃ、俺の望むものと世間が望んでるものは同じじゃない。そう考えたら、その時の俺が「おもしろい漫才を!」と考えてるネタも、ウケるわけねぇじゃんと落ち込んでしまったっていうね。そんなことをみんなに言ったら、一同きょとんとして「アイスひとつでなにを言い始めるんだ?」という空気になってしまった。そこで、田中が口を開く。

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文:唐澤和也
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