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伊集院光は田中裕二をして「怪物」と評している。たとえばNHKの『爆笑問題のニッポンの教養』という番組で、田中を間に挟んで、俺と哲学者がトークで盛り上がっていると。伊集院は、俺と哲学者の話をなるほどなぁと感心して観てくれていたと。でも、伊集院がふと思ったのは、「今一番すごいのは、こんなにも白熱した場面で、一切なにも喋らずボーっとしてる田中さんじゃないのか?」だったらしい。伊集院は「田中さんの沈黙こそ哲学なんじゃねぇか?」とも感じたそうだ。それは俺、すごくわかる気がした。よく知りもしない人が「田中さんっておもしろいですね」とか言うとムカつくけど、俺からみても田中裕二という男は「そこまでなにも考えずによく生きられるなぁ」とか、「よくぞ20年間まったく進歩せずに生きられるなぁ」といった意味で興味深い存在だから。

そして俺は、田中に対して多少は申し訳ないという気持ちもある。俺は身近な人たちに対してしつこいぐらいに話かける時があるんだけど、人によっては俺との会話を閉じちゃうわけ。俺自身、そりゃそうだよなと思うんだけど、こと田中だけに対しては閉じることを許さなかったから。たとえあいつが「ほっといてくれよ」という空気を出してた時でも、俺は田中だけには、その時間を与えなかった。それに対しては、さすがに申し訳ない気持ちがある。いくらコンビとはいえ、田中にもキツい時期もあっただろうなぁと思う。

そんな俺が抱く田中裕二のイメージは、漢字一文字なら「汚」。あえてカタカナにするなら「キモイ」。田中という男は食べ方が汚いし、顔そのものもキモイ。怖いもの見たさなのかなんなのか。俺はじぃっと田中の気持ち悪い顔を見つめている時がある。まぁ、そんな時の田中は「お前って本当に俺のことが好きなんだな」とか言って、またしても俺をムカつかせるんだけど(苦笑)。

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「ぴあ」3.18号より
文:唐澤和也
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