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それにしてもなぜ、父親と口を聞かない子どもだったんだろう? まぁ、俺ら世代の男なんて、みんなそんなもんだとは思うけど、うちの父親は頑固親父タイプの怖い人ではなかったから、要は大人の男が怖かったんだと思う

正月に親戚一同が集まるとする。親父の実家は板橋区の下町だったんだけど、兄弟が多いから、ものすごい数の大人の男が集まる。で、大広間みたいなところに、それこそヤクザの会合みたいな感じで集まって、ぶわーっと酒を飲み始めて。またさ、うちの親戚には声のでかい連中が多くて、しかも酒が入ってるから「がははははっ!」とか、ずっしりと響くような笑い声が、とにかく苦手だった。うちの親父は末っ子で長男とは20歳ぐらい離れてたんだけど、俺からすりゃ、親父の長男である伯父は、おじいちゃんみたいな感覚があったのね。そのおじいちゃん的長男が、ヤクザの親分みたいな貫禄があって、白髪の五分刈りで着物着てガラガラ声で。その人が酔っぱらうと「光〜っ!」と大声で呼ばれたりするのが嫌で嫌でたまらなかった記憶がある。じゃあその頃一方、親父はなにしてるんだろって見ると、宴会の席で一番はしゃいでいたっていうね(苦笑)

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文:唐澤和也
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