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俺のヒット作と言えば、1997年に単行本化された『爆笑問題の日本原論』(以下、『日本原論』)だろう。

実はこの本、単行本化当初は「絶対に売れない」と言われていた。版元である宝島社の上の人が言うには、「芸人のネタ本で売れた試しがない」と。つまり、前例がないと。俺は、自分で書いたものだから、「読んでくれた人は笑うはずだ」と、その内容には手応えがあったけど、「出版界のヒットのセオリーで言えば、そういうもんなのか」とぼんやりと納得していた。初版は8000部。数字的にもまったく期待されていない1冊だった。

ところが、発売日前に雑誌のベストセラーランキングで1位を取っちゃったからね。3日間ほどで10万部突破しちゃって、急遽、テレビCMも宝島社が流してくれることが決まって。「絶対売れない」と言っていた人が「すまなかった」つって、ちゃんと謝ってくれて。単行本の場合、宣伝効果を狙って各媒体に献本と資料を送ったりするんだけど、『日本原論』は、いろんな書評欄で勝手に書いてもらえたりもした。もうね、めちゃめちゃ嬉しかった

ただ、自分にとって一冊目の単行本だから、ヒットの感覚というものが、よくわかっていなかったというのはある。何冊か著作を重ねた今、『日本原論』のヒットと同じインパクトを体感したら、もっともっと嬉しいだろうと思う。

それぐらい、『日本原論』以後の俺にはヒットがないから(苦笑)

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文:唐澤和也
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