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■第13回
「時間と締め切りのはなし」

俺は昔、
『不思議の国のアリス』の
「帽子屋」のような
時間を過ごしていた

最近、忙しいと言えば忙しいんだろうし、時間が足りないと思うこともあるけど、俺は「仕事=ありがたい」という意識が強い。パッと売れた人には薄い意識なのかもしれないけど、以前、大人計画の松尾スズキさんと対談した時もこの話で盛り上がった。要は、仕事のない時期が長かった人は、ある程度は忙しくなってからも仕事を断るということができないっていうね。仕事がない状態って、食えないってだけじゃなく、自分の考えてることや感じたことを発表できないというツラさもつきまとうから。さんまさんからは「仕事選べや!」って冗談っぽく言われたりするんだけど、「でも爆笑問題は、ここまでいろいろあったから気持ちはわかるわ」とも言ってもらえたりする。

でもじゃあ、時間があれば仕事の質が上がるかと言えばそうとも思わない。たとえば、漫才。それこそ暇だった頃は、月に1回のライブしか仕事がなかった。ギャラ何千円のライブが唯一の仕事だったわけで、時間はあり余るほどあった。でも、当時は時間をかけてネタを作っていたかと言えばそんなことはなくて、今と同じようにライブの前日から作り始めていたから(苦笑)。結局、時間うんぬんじゃなくて俺の性分の問題だと思う。逆に言えば、ひとつのことに時間をかけて、いいものを作る人も当然いるとは思う。

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文:唐澤和也
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