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ただ、本当にやりたいことが見つかるまでは動かないのもひとつのやり方だとは今でも思っている。だからこそ、仕事がなかった30歳の頃に司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』を読んで、激動の幕末を駆け抜けていく男たちが多かったなかで、なかなか自分の志を確立できず、結果的に遅咲きとなった坂本竜馬に激しく共感したわけだから。

とはいえ、今まさにティータイム的な時間を過ごしている人たちには、現在の俺の言葉なんて、ほとんど響かないと思う。言ってみりゃ、一刻も早くティータイムから抜け出したいと願っている人たちからしてみれば、いくら俺が「そういう時間も必要だ」と言ったところで余計なお世話だと感じるはずだから。

それでも、ひとつだけ言えるとしたら、時間は相対的なものだということ。たとえば俺は、自分の43年間の人生を一瞬でイメージできる。詳細に思い出していくには43年間分の時間が必要だけど、なんとなくイメージするだけなら一瞬。一方で、地球が誕生して46億年だとするなら、俺の43年間なんてまさに一瞬。さらに、宇宙のビッグバンと比べれば地球の46億年もまた一瞬。つまり、すべての一瞬は、絶対的なものじゃなくて相対的なものであるわけで、だからこそ、アインシュタインの例のあれも相対性理論となる。一瞬のつながりが時代となり歴史となって、個人レベルでは思い出となる。

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文:唐澤和也
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