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しかも、その変な芝居が、逆にカッコイイっていうね。なんとも言えない、絶妙なゆっくりさ加減。俺、その場面を「カッコいいなぁ」と思って真似してみようと、かなり練習したもん(笑)。だけどまぁ、これが真似できない。ちなみに、俺はジェームス・ディーンの煙草の吸い方も真似しようとしたんだけど、「無理っ!」つってあきらめた。ほりが深くて憂いのある瞳と、きれいな長い指じゃないとあの吸い方は似合わない。日本人には真似しようたってできない。つまり、許されない

日本で言えば、松田優作も「許された男」だと思う。俺は、松田優作が大好きなんだけど、1989年、40歳の年に死んでしまう。映画『ブラック・レイン』でハリウッド進出を果たし、アメリカも認めた松田優作の魅力は、日本人離れした長身としなやかな肢体だった。その恵まれた外見に圧倒的な説得力があった上に、優作はカッコ悪いことをしてもカッコいいという魅力もあった。俺たちの世代が夢中になって毎週見てた『探偵物語』は、その極みみたいなドラマで、ヤクザにすごまれて「すいませぇ〜ん」かなんか言ってあとずさりするくせに、その情けない姿までもがカッコよかったから。言ってみりゃ、ブルース。ステレオタイプのヒーローじゃなくて哀愁があった。芝居の面でもちょっとしたアドリブを入れたり、変な間を入れたりして、見てるこっちからしたら「ん?」とひっかかるポイントがある。計算し尽くされた芝居とは違う、ストレンジな違和感があった。

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文:唐澤和也
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