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正直に言って、芝居のうまさで言ったら、木村拓哉よりうまい人はいると思う。でも、ジェームス・ディーンや松田優作にも通じる、ストレンジな違和感の魅力がある。たとえば、芝居。木村拓哉が誰かを見ながら台詞を言うシーンがあったとする。そんな時、木村拓哉は、わざと視線を外してから見つめ直して「お前さぁ」なんて言う。芝居の本質から言えば決して必要ないものではあるんだけど、その飾りがあるからこそ、何気ないやりとりまでおもしろくなる。踊りでもそう。SMAPの踊りを見てると、木村拓哉は、ちょっとだけ間をズラしたりして見てるこっちの視線を喜ばせる

しかも、芝居でも踊りでも全体の流れを壊さずにストレンジな違和感を挟むところが「器用だなぁ」って思う。もちろん、ストレンジな違和感で言えば、ジェームス・ディーンや松田優作のほうが圧倒的なんだけど、逆に、あそこまでやっちゃうと「木村拓哉にはなれない」とも言える。マニアックには振り切らず、でも、ストレンジな違和感はあるのに大衆から支持されるという絶妙なさじ加減。その点こそが、木村拓哉だけが手に入れた、そして木村拓哉だから許される魅力だと思う。

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文:唐澤和也
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