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たとえば、『ゴースト』とか『タイタニック』。両方とも男が女を救って、天国へ帰ったり、海の底に沈んで死んじゃったりするわけでしょ? それを「究極のラブストーリー」とか言っちゃうわけでしょ? 俺は、その手の物語が究極の恋愛だとは全然思わない。『タイタニック』で言えば、ディカプリオと一緒に女も沈んでいけよと。そんなに好きだったらお前も死ねばいいのにって話だから。ま、その2作とも「絶対つまんなさそう!」と思ったから、まったく観ていないし、今後も観るつもりはないんだけど(苦笑)。

恋愛映画で俺が好きなのは、ウディ・アレン監督の『カイロの紫のバラ』。主人公は、ミア・ファロー扮する平凡以下の主婦なんだけど、彼女の旦那は飲んだくれのさえない男なわけ。彼女は、日々の憂さを晴らすために映画館に毎日通うんだけど、そこで上映されてる作品が『カイロの紫のバラ』というベタベタな恋愛もの。その主婦は、さえない旦那と比べて、映画の主演俳優を「素敵だなぁ」なんて観てるんだけど、ある時、スクリーンの中の俳優が彼女を見つめて「君、毎日観に来てくれるね。ありがとう」なんて、台詞じゃない言葉をしゃべり始める。で、なぜかその俳優がスクリーンから飛び出して「一緒に逃げよう!」つってふたりで逃避行するというストーリー。でも、スクリーンの中の主役には、それを演じた俳優が実在するわけじゃない? その実在する俳優が、逃げたふたりを追っかけてスクリーンから外の世界に逃げ出した男を元に戻そうとするんだけど、オチにも恋愛がからんでいておもしろい。ウディ・アレンは、ほとんどの作品で恋愛を描いているんだけど、『ゴースト』や『タイタニック』なんかよりも、『カイロの紫のバラ』は断然おすすめです。

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文:唐澤和也
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