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女性を中心にヒットした恋愛もので、意外とおもしろかったのが携帯小説の『恋空』。当時、携帯小説がブームだったから興味本位で読んだんだけど、主人公の女子高校生がエゴイスティックで素直に感じられたのがよかったんだと思う。新垣結衣主演での映画版では、Mr.Childrenの『旅立ちの唄』が主題歌だったんだけど、その時期に桜井(和寿)くんと対談したら「あの曲は原作を読む前に作った」と聞いて驚いた。というのも、原作の世界観と桜井くんが作った『旅立ちの唄』が、あまりにもピッタリだったから。対談の席でそう伝えたら「僕もビックリしたんです。なぜかシンクロしたんですよね」と桜井くんも言っていた。俺の個人的な趣味では、『1Q84』の最新刊よりも、『恋空』のほうがおもしろい恋愛小説だ

考えてみたら、明治の文学は、ほとんど恋愛ものばかり。10代の俺が愛読していた島崎藤村や森鴎外にしても、自身の恋模様を小説にしていた。つまり、俺と「恋のはなし」って、実は無縁なわけじゃない。ただ、ひどいけどね、このふたりが描いた恋愛小説は(苦笑)。たとえば、島崎藤村は、当時としては禁断の恋だった、姪っ子に手を出しちゃって悩みに悩むって話を書いているし、森鴎外はドイツ留学中に恋に落ちた女を自分の出世と天秤にかけて捨ててしまう。10代の頃は夢中になったけど、今読むと「なんなんだ、このひどい話は!」って感じだから(笑)。

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文:唐澤和也
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