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彼らは国際社会や国家に失恋したとも言えるわけで、頼るものはなにもない。ふつうに生きていくことすら厳しい日々。となると、彼らが神に救いを求めるのは当然のことで、世界に対する求愛活動で突き放されてしまったのなら、神にすがるしかない。だから、彼らは毎日、神に祈っている。求めているのは「生活の糧」といった、「恋愛」よりも人間が生きていく上で根源的なもの。ところが、神からの見返りはない。祈れども祈れども、生活は変わらず苦しいまま。日本人である俺の感覚からすりゃ、神からのリアクションなんてあるわけがないと思うけど、彼らは神からの見返りを期待せずに祈ることを日常としている。

彼らの祈りを、もしも恋愛にあてはめて想像するなら、失恋よりも深い痛手を伴うはずだ。自分たちの神にすら毎日フラれているような失意の日々。しかも、失恋の場合、人によっては他の異性を好きになることで、その痛手から解放されるかもしれない。ところが、彼らが信じる神はひとつ。別の神に代りを求めるだなんて、今までの人生の全否定になってしまう。

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文:唐澤和也
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