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キャラクターや自分探しといった言葉にピンとこないタイプの俺は、「軸がブレる」という表現も、ちょっと理解できていないところがある。個性的じゃない人間なんていやしないと思うのと同様に、人間の軸はブレようがないし、ブレたとしてもそれも含めて個性だろって。ただ、軸がブレるという感覚とは違うと思うんだけど、少しだけそれに近い、記憶から消したい思い出がある。

俺の場合、思ったことを発言して、それが失言となり、番組プロデューサーが始末書を書いたり、うちの事務所にも迷惑をかけたりと反省することが多い。そういう時は、本当に申し訳ないことをしたなと思うけど、それ以上に心に傷が残った出来事が一度だけあった。それは、ある番組内で戦争に関することを真面目に議論する場面だった。俺にはその議論に関して、本当に言いたいことが あった。そして、「今、言うべきだ!」というタイミングもつかめていた。

なのに、俺はその言葉を飲み込んでしまう。ひとことで言えばビビってしまったのだ。ビビって飲み込んだその言葉は、今でも胸に残っているし、思い出すたびに嫌な気持ちになってしまう。

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文:唐澤和也
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