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言葉に縛られるとさえ感じることもある。たとえば、俺が書く文章は人よりも言葉数が多くて、なるべく情報を詰め込もうとする。いくつもの情報を文中に散りばめるんだけど、その手法だとどれかひとつしか伝わらなかったり、どれも伝わらなかったりする。この連載でも話したけど、言葉の引き算みたいなものがある向田邦子さんの文章を読むと、「あぁ、すごいなぁ。言葉数が少ないほうが伝わるのかなぁ」と思ったり、逆に、村上春樹の小説を読むと「こんなに言葉の情報量が少ないのってどうなんだよ?」と感じたりする。ただ、ずっと文章を書き続けてるから、その時々に応じた、引き出しと言うか「芸風」は増えたような気もしている。

漫才の場合も、俺たちは言葉数が多いし、結成当初から言葉の細かい言い回しにまでこだわってきたコンビだと思うけど、漫才は、観客が笑ってくれりゃあ伝わったってことだから。ネタのやりとりを失敗したとしても、笑ってくれりゃあそれでOKっていう。ただまぁ、厳密に俺らが狙った通りの意味が伝わって観客が笑っているかというとまた違うんだろうけど、そこまで考えだすとキリがないから(苦笑)。

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文:唐澤和也
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