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世間的な意味でのアートは、俺たちが片足を突っ込んでいた世界に近い気がする。藝大の学生たちと討論になった時に俺が言ったのは、「不安がないのか?」ということ。「クラッシックをやってて客が来るのか?」「今どき、油絵なんて売れるのか?」と。すると、オルガン奏者の女の子がこんなことを答えたのね。「私は不安です。オルガンが好きで演奏してるんですけど、誰が観に来てくれるんだろう。どうしたらいいんだろうって」。ところが教授たちは「そんなことを考えてはダメだ。芸術は流行歌とは違うんだ」みたいなことを言うのね。俺には、オルガン奏者の女の子の気持ちがすごくわかった。だってさ、世間の感覚からすると端っこのジャンルで、でも、これからその世界で表現していこうと決意している人たちが、その手の不安を抱くのは当たり前だし、だったらどうすりゃど真ん中に持っていけるのかを是が非でも考えるべきでしょうって。

俺自身にも、「老若男女を問わず笑わせることなんてできるのか?」という疑問は常にある。でも、とにかく目指さなきゃ始まらないし、全方向を向いてなきゃ閉じちゃうから。ある時期の爆笑問題がそうだったように。もちろん、アートの世界はテレビほど極端に全方向を目指す必要はないだろうけど、「誰に注目されればど真ん中に持っていけるのか?」は、今端っこに追いやられてるジャンルならば、考えなきゃダメだと思う

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文:唐澤和也
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