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言ってみりゃ感受性の問題。浜村淳や淀川長治が解説すると、つまんねぇ映画でもなぜかおもしろく感じられたりするじゃない? 多くの人は気づかないであろう、その作品が持っているマニアックな素晴らしさ。あるジャンルの王道をいく人は読者や観客としてそれらの素晴らしさを見抜くセンスが尋常じゃないんだと思う。桑田さんだけじゃなく、談志師匠もまったく同じで、ふつうの落語家がやったらなんにもおもしろくない噺を立川談志がやると感動してしまうっていう。俺自身も、小説を読むのが大好きだけど、なにもベストセラーだけを読んでいるわけじゃなくて、今や誰も読まないような古典を読んで感動することもあるわけで。

俺なんてまだまだ全然だけど、受け手として得たマニアックな感動すら、表現する側にまわった時にベタなり王道なりに昇華できるのなら、それこそ俺が常々言ってる「芸がある」ってことなんだと思う。まぁ、それを目指して書いた小説『マボロシの鳥』は、いざやってみると、手間も時間もかかるし、本当に面倒くさかったけど(笑)。

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文:唐澤和也
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