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ただ、実は「発想」における「着想」は二番目にくるものであって、俺のなかで一番上にくるのはもうひとつのものだったりする。

それは「物語を紡ぐ」ということ。俺が、カート・ヴォネガットという小説家を尊敬する理由もそこにある。たとえば『タイタンの妖女』という小説は、時空も星も全部超越した壮大なストーリーでありながら、最後は「人間なんてその程度のものさ」という、笑いで物語を終わらせているのがすごい。

そういう意味での「物語を紡ぐ」という行為は、芸人の世界では漫才よりもコントということになる。結成当時の爆笑問題は、「常に斬新なコントを作るコンビ」になるはずだったから。それが、1、2、3… 5個のコントを作った時点で「もう無理!」となって、漫才に切り替えた。当時の俺は、時事漫才はネタを作るとっかかりがあるけれど、コントはゼロから物語を紡がなければならないから「漫才のほうがコントよりも楽」と考えてもいた。

ところが、最近、その意識も変化してきたように思う。きっかけは、テレビブロス誌上での連載。当初は、ストレートな評論文だったんだけど、『トリックスターから、空へ』という2冊目の単行本にまとまって以降、物語を書くようになった。続かないだろうなぁと思いながら、書き続けて2年。継続しているうちに気づいたのは、物語を紡ぐという行為も、決してゼロからの作業ではないということ。ふだんの生活で感じることや、ある事件が起きて思うことを物語に転換するわけで、なにかしらのきっかけはあるものだから。

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文:唐澤和也
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