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ただ、そうは言っても俺は、「突然変異」みたいな高みにまで昇ってみたいという願望がある。

アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言う。要するに、すべては法則で説明できるって言葉なんだけど、その前提として彼が生涯を捧げた物理科学の世界は、そうじゃなきゃいけないわけじゃない?でももし、物理法則では説明できない現象があったのなら、それはそれで一番おもしろいと発想してしまう俺は、アインシュタインの言葉を「…ホントか?」と、どこかで疑っている。疑うというか、もしも、物理法則だけでなく、広く自然界の法則から逃げることができたのなら、とんでもない解放感があるんじゃないか。でも、世の中とまったく関係のない高みなんて、絶対的な孤独にもほどがあるだろとも思う。高みに昇ってみたいと思いつつ、そんな淋しいことはねぇだろと恐怖心を抱く時、俺はたまに苦しかったりする。

だから、田中がうらやましい時がある。あいつは発想とは無縁で、発想したいとも思ってないから(笑)

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「ぴあ」12.3号より
文:唐澤和也
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