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<俺は日本のどこが好きなのか?>

これは、『憲法九条を世界遺産に』という書籍を出版する時期に散々考えたんだけど、世界の常識と比べるなら特殊だとされる点にこそ、その理由がある。たとえば、憲法九条。アメリカは日本に二度と戦争を起こさせたくなかった。自国では絶対に成立不可能である無垢な理想論を憲法九条に込めた。日本も戦争はこりごりだったから、それを受け入れた。つまり、あのタイミングだからこそ成立した人類史上稀にみる理想的な憲法が九条だった

ところが改憲派は、「自国の憲法を他国に作られた経緯がおかしい」と言う。じゃあ、そのおかしな憲法が制定されて66年。改憲との意見を口にする人のほとんどは、その生涯を憲法九条に守られて成立してきているはずだ。なのにさ、50歳だったら50年として、「じゃあ、自分の50年の人生も成立してなかったって言うわけ?」って。もしかしたら、改憲派は自分の人生が成立してないと答えるのかもしれないけど、少なくとも俺の45年間の人生は、ちゃんと成立していたから。他国に作られた憲法なんてまったく意識してこなかったし、俺の人生まで嘘やまやかしだったとは言わせないよと。

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文:唐澤和也
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