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ということは、日本人の感覚に近い繊細な表現も含んでいるわけで、俺もおもしろい映画だとは思ったんだけど、少なくともガキ大将的なアメリカらしさは感じられなかった。

逆に言えば、日本人の表現者にとっては、ひと昔前よりもアメリカ進出のハードルは下がっているということ。じゃあ、俺が映画監督をした時に世界を意識するかと言えば、それはない。理由はふたつある

映画というジャンルで世界に認められた表現者の代表例としては、カンヌ映画祭グランプリなどを獲得した黒澤明だろう。でも、黒澤さんに「世界で通用する映画を作ろう!」との意識があったかと言えば、そんなものはなかったんじゃないかなぁと俺は想像する。言ってみりゃ、黒澤明は世界に媚びてなんかいなかったはずだと。逆に、「時代劇なら日本らしさを感じてもらえるんじゃないか?」などと世界に媚びた結果、認められなかった監督のほうが多いと思う。黒澤さんは、世界に通用するのが目的だったんじゃなくて、目の前の日本の観客をなるべく多く楽しませようとした結果として、世界が認めたんじゃないかって。

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文:唐澤和也
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