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でも、まぁ天才のはなしねぇ。ひとつ思うのは世間から天才と評される人間にも俺には「憧れる天才」と、そうじゃない天才がいるってこと。

後者の代表例がニーチェやゴッホ。俺は最終的に破滅に向かう天才に対して、憧れる気持ちを抱けない。ニーチェは「神は死んだ」と言って狂っちゃうし、ゴッホは自らの耳を削ぎ落とし最後は拳銃自殺をした。思想や芸術の分野での偉大な人っていうのはわかるし天才だとも思うけど、最後がそれじゃあ奇人と呼ばれてもしょうがないだろとも思う。もしも、すごいものを作るには、狂ったり不幸にならなければ無理なら「俺はそうなれなくていいや」とさえ考えてしまう。俺は、幸せを肯定しながらものを作り続けたい

つまり、俺の「憧れる天才」は幸せを肯定しながら偉大な作品を残している人ということになる。たとえば、向田邦子。彼女は51歳で亡くなってしまうけど、これは飛行機の墜落事故が原因であり、自殺などの死因とはわけが違う。言ってみりゃ不可抗力だからね。

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文:唐澤和也
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