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一方で、太宰治の天才性について感じることは、作品自体も素晴らしいけど、それ以上に生き方がクローズアップされているということ。作家は書いたものがすべてでしょ?もっと言えば、誰が書いたかわかんねぇけど素晴らしいという「不滅の物語」こそが一番いいわけで。だから俺は落語が好きなんだと思う。もちろん、円朝が作った落語が後世に残ったりはしているけど、その多くは作者不肖だから。にもかかわらず、その物語が語り部を変えながらも、時代を越えて残ってるわけじゃない? 作り手の生き様がどうのではなく、噺自体が神輿のように担ぎ手を変えてリレーされているのは、やっぱりすごいことだと思う。

俺自身のことで言えば、憧れる天才がいるぐらいだからそうじゃないと思う。ただまぁ、若い頃は自分を天才だと思い込んではいた。芸人なんて、そう思わなきゃやってられない部分もあるし、この世界に踏み出す最初の一歩は「俺が一番おもしろい!」がなきゃ先に進めないって言うかね。

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文:唐澤和也
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