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そんな俺が思うお金の価値って、ただの秤でしかないから。現代社会で多様化する価値観をある程度統一するための秤。つまり、秤は人間が使う道具なのに、今の時代は道具であるはずのそれに、人間が操られているような感覚が俺にはある。

たとえば、三ツ星のレストランで何万円も払って食べるフルコースよりも、貧乏な時に、ちょっとだけ金が入ったから今日だけは奮発してカツ丼を食うかって時の飯のうまさ。お金の秤で言えば3万円対800円だとしても、俺は貧乏時代の800円のカツ丼のほうが圧倒的にうまいと思う。感動に関してもそう。たとえば、俺は思春期にピカソの「泣く女」を見て感動した。仮に今「泣く女」を買い取れるほどの収入があったとする。でも、その絵を家に飾ったとしても、思春期ほどの感動が得られるかと言えば絶対に無理だから。要は、秤が示す数字ではなく、価値観は自分で決めていたい。

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文:唐澤和也
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