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ホリエモンや村上ファンドが台頭した時期に感じたのは、お金に価値観を見い出しているよりも金を生み出す技術に陶酔していたのではないかということ。要するにゲーム感覚。次から次へと金を生み出すアイディアを思いつくことが快感だったような気がしてならない。もし、そうだったとするなら、それはそれでわからなくもない人間の心理だと思う。

でも、彼らが見落としていたのは、お金の価値が移りゆくすさまじいまでのスピード感。たとえば、ある時の俺は「自分の頭の中にあるもの」に一番の価値観があるとする。次に、文章でそれを表現しようとして、原稿用紙と鉛筆を文房具屋で買う。その瞬間、俺の頭の中から「文房具」へと価値観が移っている。この時の俺にとって文房具がなければ表現できないとするなら、わずか数百円の原稿用紙と鉛筆には、流通価格以上の価値があるということだから。

で、次のステップ。俺が書いた文章が素晴らしいものに仕上がってくれたとして、その価値は「文章そのもの」に移っていく。この瞬間、原稿用紙と鉛筆の価値観は過去のものになったと言い換えてもいい。

さらに次のステップ。その文章が書籍化されたとしたら、文章そのものから「本の値段」と言う価値に移っていく。

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文:唐澤和也
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