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その頃は、時事ネタはツカミぐらいで「もしも○○が××だったら?」というのが俺たちの漫才の型だった。タイタンライブでは、時事ネタの漫才をやり始めていたけど、単独ライブとかではこちらの型で作っていて。今でも覚えているのは、2000年問題が話題になった頃の漫才。簡単に言うと、人工知能が今後発展していったらどうなるだろうという設定で、そうなると自分の記憶をパソコンやハードディスクに保存していくことになるだろうと。技術が進化するにつれて、パソコンのほうで脳の代わりに思考してくれるようになって、みんなどんどん頭が良くなると。最終的におでこに小型のPCを付けて生活するようになるんだけど、そこに2000年問題が浮上してしまう。どうしようとなって、1999年の大晦日。おでこに小型PCをつけた知識人が『朝まで生テレビ』みたいな番組に集まって議論を交わすんだけど、答えなんて出ない。でも、カウントダウンの時はやってくる。みんなで「3、2、1、ゼロ」と言ってるうちに年が明けるんだけど、「1、2、3」ってカウントを続けるというオチだった。つまり、人工知能に頼り過ぎた人類は、2000年問題でパソコンが狂って、その頃には使っていなかった自分の脳は退化してしまっているだろうから、みんながバカになっちゃうっていうね。

この手のSFっぽいネタは昔から好きなんだけど、今ならコントで表現すると思う。人工知能のネタにしても結局はストーリーだから。逆に言えば、漫才の魅力はそこにあるとも思う。つまり、当時の俺たちに人工知能ネタをコントで、しかもきっちりセットを組んでという予算は許されなかった。でも、漫才なら、こちらの伝え方さえちゃんとしていれば、仮に1億円かかるセットだろうが喋りだけで客にイメージさせることができるから。

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文:唐澤和也
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