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15年ほど前に、BSアナログ放送でラジオ番組を担当していて、その放送は任天堂のスーパーファミコンに「サテラビュー」っていう周辺機器を付ければ受信できたのね。俺ら以外にも、タモリさんや伊集院光やデビュー当初の浜崎あゆみがパーソナリティを担当してたりして、今思えばけっこう豪華だった。ところが、そのシステムがまったく普及しなかったっていうね(苦笑)。

その仕事の流れでRPGゲームを作ろうとなって、俺の選んだテーマが「もしも竜馬が暗殺されなかったら?」だった。ゲームのシナリオを俺が書いたんだけど、物語は竜馬が暗殺された近江屋にタイムスリップするところから始まる。ゲーム的には「竜馬を助けますか?」みたいなテロップが流れる。で、プレイヤーが「助ける」を選ぶと、竜馬は外国に渡って東インド会社と交流を持ったりなんかして、世界中の重要人物を竜馬が結びつけていく。ちょうど、薩長同盟で犬猿の仲のふたつの藩を竜馬が結びつけたようにね。で、エンディングは、諸外国を旅していた竜馬のもとに「日本がふたたび鎖国を始めた」との情報が入る。竜馬は慌てて日本に戻るんだけど、鎖国した新しい幕府的な存在を既に倒した男がいて、そいつが大ボスなんだけど、実は西郷隆盛だったっていうね。

ちなみに、そのゲームのタイトルは『竜馬でゆく』(笑)。シナリオを書きながら夢想してしまったのは、もしも坂本竜馬が生きていたなら、アジアをはじめとする諸外国との関わり方は今よりずっといいものになってて、太平洋戦争へと続く歴史も変わっていたのではないかってこと。俺のゲームの中で「その先」を生きる竜馬は、幕末の頃よりもさらに魅力的だったから。ま、そのゲームはまったく売れなかったけれど(苦笑)

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「ぴあ」3.18号より
文:唐澤和也
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